開催終了 企画展
エコ&アート-アートを通して地球環境を考える-近くから遠くへ
2009年7月4日(土) ~ 2009年9月23日(水)
現代社会が直面する大きな課題であるエコロジー。現在、私たちは日々「エコ」という言葉を耳にし、「環境に配慮していること」が当然のように求められる社会に生きています。
しかし歴史を振り返ると、「エコロジー」とは、人間を含む全ての生物をひとつの大きなシステムのなかに位置づける「生態学」を指す言葉として、19世紀後半に誕生したものです。この頃すでに酸性雨など工業化による環境への影響が指摘されていたものの、今日、一般にエコロジーが意味する「環境保全」に対して社会の関心が高まるのは、1960年代になってからのことです。
美術の分野では、60年代の終わりから、自然のなかへと制作活動の領域を広げる「アースワーク」の動きが欧米を中心に起こります。学生運動や市民運動が盛んになった70年代には、ドイツのアーティスト、ヨーゼフ・ボイスが「緑の党」の創設に関わり、7000本の樫の木を植えるプロジェクトを行うなど、政治、経済を含めた視野から人間の自由と創造の営みのためのエコロジーを訴えました。80~90年代には、経済のグローバリゼーションが進むなか、環境問題への世界的な取り組みがはじまり、美術においても、自然と人間を取り巻くあらゆる環境について、21世紀を見据えた様々な考察が重ねられます。
2001年に開館した当館は、この今世紀的な課題につながる「自然と人間」をテーマとして活動を行っています。また例年、夏の国内最高気温を競う館林において、気候変動は身近に迫る問題となっています。当館を会場とする本展は、アートを通して多角的に地球環境について考えようとする試みです。大地を自らの足で歩むアーティスト、地球の時空間の様相をとらえるアーティスト、そして比類なき想像力によって未来の地球像をイメージするアーティストなど、15人のアーティストをとりあげ、地球環境に向き合う上で多様な示唆を与えてくれるその表現を、第1章「館林-群馬…世界を歩く」、第2章「地球の時空間」、第3章「未来の地球へ」という構成によりご紹介しました。
さらに本展は、「近くから遠くへ」と視界を広げることをサブテーマとしました。アーティストたちの作品を通して、館林という場所から世界へ、身近な自然から地球上の遠くの自然あるいは人間という存在へ、そして過去の地球の姿から未来へと想像力を働かせることが、エコロジーについて考える一つのきっかけとなったことでしょう。
《展示作家》(15名)
第1章:篠原誠司、石川直樹、平田五郎、リチャード・ロング、リチャード・ミズラック
第2章:ロバート・スミッソッン、ニルス=ウド、高谷史郎、野村仁、ヨーゼフ・ボイス、バックミンスター・フラー
第3章:國府理(こくふ・おさむ)、三分一博志(さんぶいち・ひろし)、サウンドバム、日比野克彦
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平田五郎
《Inside Passage-The Raven Steals The Light 月を盗んだワタリガラス》
2005年 発色現像方式印画 -
石川直樹 《THE VOID》 2005年 発色現像方式印画 -
篠原誠司 《多々良を踏む》2008年 インクジェットプリント -
國府理《typical biosphere》2009年
鉄、ポリカーボネート板、土、 樹木、芝生ほか -
高谷史郎《Camera Lucida/Snow Crystal》
2005年 映像インスタレーション
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三分一博志《犬島アートプロジェクト「精錬所」》 2008年 -
ニルス=ウド
《水の家/トウヒの幹、白樺の枝、柳の小枝、芝の植栽》
ゼラチン・シルバー・プリント(全8点)
1982年 群馬県立館林美術館蔵
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サウンドバム 《世界の音を聴こう!》
2009年群馬県立館林美術での展示風景
制作協力:日本科学未来館 -
日比野克彦 展示風景
《DNA PLAIN》 2009年 段ボール、紙/《POSITION》2009年 テント/
《DNA RIVER》2006年 段ボール、紙
- 会期
- 2009年7月4日(土)~9月23日(水・祝)
- 観覧料
- 一般500円(400円)、大高生250円(200円)
※( ) 内は20名以上の団体割引料金
※中学生以下、障害者手帳等をお持ちの方とその介護者1名は無料 - 主催
- 群馬県立館林美術館
- 助成
- 芸術文化振興基金
- 協力
- THE NORTH FACE