開催終了 企画展
みどりのちから-日本近現代絵画にみる植物の表現
2003年4月12日(土) ~ 2003年5月25日(日)
植物のつたえる季節感や生命感、またその精妙なかたちは古来より多彩な造形芸術を生み出してきた。近代以降、日本の絵画における植物の表現は急激な近代化と自然環境の変化のもと変容し、さらに東洋の古典の見直しを経て、豊かな展開を示した。本展では、近現代日本絵画におけるこうした植物表現への取り組みを、花鳥図屏風などの日本画や、洋画、現代美術作品、植物図譜など94点の絵画で概観した。
第1章「季節の便り」では、明治30年以降、新たな自然観を取り入れて行った横山大観らの日本画を取り上げた。第2章「植物を見つめる-大正期の細密描写を中心に-」では、「2-1 写実の追究-日本画」と「2-2 日常の植物-洋画」に分け、岸田劉生の影響を受けた作家を中心に、大正期から昭和初期にかけての植物表現を紹介した。第3章「植物の変容」では、「3-1 心象の花・幻想の樹-日本画」と「3-2 シュルレアリスムと植物-洋画」に分け、第二次世界大戦後の日本画と戦前から戦後にかけての洋画に共通する、幻想的な植物表現を提示した。第4章「植物のかたち・植物のリズム-植物による画面構成」では、植物モティーフに形態と色彩を単純化し、画面を構成することによって、そこに独特のリズムを醸し出している戦後の作品を取り上げ、第5章「新たなる植物との関係」では、現代美術作品を、第6章「植物を集める-植物画、写生画」では、植物図譜的な作品を紹介した。全体の章立ては以上の通りであるが、会場では作品の性質上、日本画、洋画、現代美術作品の順での展示構成となった。
植物図譜的な作品が出品されていたこともあり、植物画研究で著名な植物学者、大場秀章氏による記念講演会を行った。出品作家押江千衣子氏によるワークショップ「みどりと出会う」および、植物画家の豊田路子氏による「ボタニカルアート(植物細密画)に挑戦」では、参加者が講師の指導のもと作品制作を行った。
- 会期
- 2003年4月12日(土)~5月25日(日)
- 観覧料
- 一般800円(640円)、大高生400円(320円)
※( )内は20名以上の団体割引料金
中学生以下、障害者手帳等をお持ちの方とその介護者1名は無料 - 主催
- 群馬県立館林美術館