フランソワ・ポンポンを紹介します
About François Pompon
たてびでは、「自然と人間」のテーマにあわせ、動物の作品を作るフランソワ・ポンポンの作品をたくさん集めています。 ポンポンや主な作品についてくわしく紹介します。
ポンポンについて
フランソワ・ポンポン(1855-1933)はフランスの彫刻家です。20歳になったポンポンはパリに出て、仕事をしながら学校に通い、展覧会に作品を出すようになります。尊敬していた彫刻家ロダンの手伝いをしたり、ルーヴル美術館で古代エジプト美術を学んだりした後、動物彫刻を発表し始めます。ポンポンが作る動物は、よけいな飾りのないシンプルな形で生き生きとした命を表現したので、今も多くの人に愛されています。
ポンポンの作品
ポンポンの作品は、どれもモデルをよく観察するという姿勢が貫かれています。初期の人物像は細かいところまでていねいに表されていますが、動物を観察するようになると、羽根や毛など飾りの部分を取り除き、動物の形にとって重要なものだけを取り出しました。またポンポンの動物には静けさが感じられますが、それでも生き物のあたたかさを失ってはいません。それらは新しい時代を感じさせ、人気を得たのです。
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■ 《コゼット》1888年
ヴィクトル・ユゴーの小説『レ・ミゼラブル』に登場する貧しい少女コゼットが、はだしで水の入った重たい桶を運ぶドラマチックな場面です。まだ若かったポンポンは彫刻家としての成功を夢見てサロンに出品、みごと三等賞を受賞しました。
※1888年にサロンに出品したのは高さ130cmの石膏作品です。 -
■ 《ほろほろ鳥》1910-1912年
ほろほろ鳥はフランスの農家で目にする身近な鳥です。ポンポンは、頬が垂れてちょっと怖そうな顔や、丸みのある背中のふくらみをよく観察して表現しています。その背中には、この鳥に特徴的な、まだら模様が浮かび上がります。 -
■ 《シロクマ》1923-1933年
田舎の農家で動物を観察する一方、パリでは動物園で動物たちを観察しました。ポンポンは動きまわる動物たちの足と首のバランスなどを勉強しました。やがて1922年の展覧会に長さ2.5mの巨大な石膏のシロクマが展示されると大きな反響を呼びました。 -
■ 《ヒグマ》1918-1926年
鼻先を地面に近づけてえさを探しているのでしょうか。ほんの小さなくぼみやでっぱりで表した目や耳、手のひらに乗るほどの小さなサイズは動物の臆病で慎重な一面を思い起こさせます。 -
■ 《フクロウ》1923年
フランスから遠く離れた日本の美術に特徴的なシンプルな形は、当時のフランスの芸術家に驚きをもって取り入れられています。このフクロウが江戸時代の美術を参考にしていると考える人もいれば、ポンポンの故郷にある古い教会を飾る素朴なフクロウを思い出す人もいます。 -
■ 《雉鳩》1919年
身近な鳩を観察するうちに、かっこよくて新しい感覚の鳩の形が生まれました。ポンポンはその後アトリエの中でニコラという名の鳩を飼って作品を作りました。鳥好きのポンポンはいろいろな種類の鳥を作品にしています。 -
■ 《大黒豹》1930-1931年
すらりと長い尻尾と太い足を持つ、真っ黒で強そうな黒豹は、意外にも丸いかわいらしい目をしています。ほかにも尻尾を立てたり、丸めたりして、さまざまな動きを試した豹のシリーズが作られています。
別館について
ポンポンは、故郷で家具職人をしていたお父さんから仕事の厳しさを学びました。パリに出ても派手な生活をせず、アトリエで作品を作ったり、鳩を飼ってかわいがったりしました。有名になってからは、新聞や雑誌の記者が訪れたり、ポンポンに学びたい若者が集まったりしました。たてびの別館の「彫刻家のアトリエ」は、ポンポンのアトリエ写真を参考に、ポンポンが使っていた彫刻台や家具、アンティーク品などを使って作られています。
ここで紹介した内容は、「フランソワ・ポンポン ジュニアガイド」に掲載されています。たてびでは、このジュニアガイドを無料配布しています。