
2026年6月7日(日)に、企画展示「熊田千佳慕の世界~愛するからこそ美しい~」のスペシャルゲスト・トークを開催しました。これは、当初予定にはなかったイベントですが、熊田千佳慕に詳しい方々がいらしてくださることとなり、開催したものです。
ゲストは、本展に協力してくださっている株式会社求龍堂にて、長年、熊田千佳慕の本の出版に携わってこられた編集者の清水恭子さんと、熊田千佳慕のデザイナー時代の研究者で本展に資料を特別出品してくださっている福島県立美術館学芸員の堀宜雄さんです。

清水さんは、『熊田千佳慕 クマチカ先生の図鑑画集』(2012年)など、これまでに7冊の本の出版を手がけられています。トークでは、本づくりの過程で見えた千佳慕の作品の魅力や千佳慕の人生について語ってくださいました。
特に印象深かったのは、清水さんが調査時に読んだ、千佳慕が色々な言葉をメモしていたノートについてのお話です。そこには、デザインの仕事で図らずも戦争に関わる仕事をしたことから戦後は子どものための仕事へと向かった千佳慕の思いや、自らを含めた大人と人間社会への厳しい言葉が書かれていたとのこと。清水さんは、「熊田さんが残したものが後世にも伝わることを願っている」と締めくくられました。

堀さんは、2002年に福島県立美術館での「熊田千佳慕の世界」展を担当され、千佳慕のアトリエには何度も通ってインタビューをされた経験があります。2006年に「名取洋之助と日本工房」展を企画された際には、千佳慕の日本工房時代の仕事を丁寧に掘り起こされました。
トークでは、アトリエの様子をお話くださったり、千佳慕が日本工房時代に最も力を入れて作り上げた折本『日本』について(本展ではパネル展示)、自作のミニチュア版を広げて説明してくださったりしました。
最後に、90歳を過ぎても自らに気合を入れる千佳慕の素顔や、日本工房で千佳慕が置かれた難しい立場、千佳慕がおそらく抱いていた当時の仕事への複雑な思いについて、晩年の千佳慕を知る堀さんならではの貴重なお話をうかがいました。

ご参加の方々は、多岐にわたるトークに熱心に耳を傾けていました。
展覧会協力をしてくださっている株式会社ブレインズ・カンパニーの近藤あやさんは当日ご参加頂けませんでしたが、この展覧会はこうした方々の調査や研究があって充実したものになっていると感じるトークでもありました。ゲストの皆さんにこの場を借りてお礼を申し上げます。
